神戸新聞の7日間

 リアルタイムで見ました。



 おかんは「ほんまは見たくないんやけどねー」って言ってました。わたしよりも熱心に嵐番組を見ている母がです。うちは大阪に住んでるんですが、神戸は本当に目と鼻の先で、ほんのちょこっとですが近所でも避難している人がいる地域でした。だから震災は他人ごとではない。当時のことを思い出してしまうからって。
 わたしは当時小学生で、神戸という土地は単語でしか知りませんでした。テレビでひどい震災の映像を見ても、家から数分の距離にある神社の鳥居が倒れたこととか、友達の家の納屋が全壊したことのほうが話題で、神戸の実態がどんなもんだったのかを全然知らなかった――いや、知ってたんだけど、実感できてませんでした。
 今回のドラマを見て、15年経った今やっと「あぁ、すごいことだったんだな」と理解しました。やっぱりショックでした。おかんは横で泣いてました。もう、嵐とか翔ちゃんとか、そんなんじゃなかったです。
 でも、それでも実際に被災した人に比べれば、こんなショックなんて大したもんじゃないんだろうなぁ……。本当に被災した知人は、「アレ系のドラマは絶対に見ないことにしてる。今回も見ない」と言ってました。「どこまでやっても、他人の手でつくられた映像だから。あの悲劇をヒーロー物語にしてほしくない」って。実際にあのドラマ(とゆーか、ドキュメンタリー?)を見た感じ、翔ちゃんのヒーロー物語になってるな、とは思わなかったけれど、やっぱり多少のドラマティックさはありましたよね。本当の被災者はそれも許せないのかもしれない。もちろん、多少手が加えられていたとしても多くの人に知ってほしいって考える方はいるだろうし、それもまた正しいと思いますが……。
 何が言いたいのかわからなくなったけれど、この歳になってやっとすぐ近くで起こっていた一大事を知りました。やっとです。
 あの頃、担任の先生が買ったばかりの新車でお嫁さんのご家族の遺体を神戸から運び出したって噂があって、生徒のわたしたちは「幽霊車の先生」とか陰で言ったりしてたんですが……なんか、いまさらだけど先生ごめんなさいって言いたいです。あの頃の神戸は、そんなことを言ってる場合じゃなかったんだって、今日はじめて思い知ったのでした。
 ドラマの中で、翔ちゃん演じる三津山記者は「何故撮らなければいけないのか?」と悩んでいましたが、悩んでも彼らが残してくれた記録のおかげで、今日いまさら震災のすさまじさを知った人間がここに現れました。本当にありがとうございました。